Q1. 酸素は空気より軽いの?重いの?空気を1とすると酸素の比重は?

酸素の物性は以下の通りで、比重は1.1です。したがって、酸素は二酸化炭素のように沈むほど重くはなく、漂うように拡散すると考えられます(見たことないので推測です)。

分子量:32

沸点:-182.9℃

融点:-218.4℃

臨海温度:-118.8℃

比重:1.10529

臨界温度とは、いくら圧をかけても液体にならない温度限界をいい、ガスをボンベに詰める際に非常に重要です。つまり、酸素の臨界温度は大変に低いために常温では液化しないために、室温使用するボンベには圧縮ガスが詰まっています。一方、二酸化炭素の臨界温度は31.0℃なので、液化炭酸ガスがボンベに詰められることになります。

Q2. 酸素、圧縮空気、正気、3つの中央配管の値はみな同じ?それとも、どれかが高い?

すべて同じ圧ではありません。酸素は他のガスに対して、3050kPa(0.3〜0.5kgf/cm2)高く設定されます。JIST7101(医療ガス配管設備)によると、酸素もその他の医療ガス(吸引・駆動用窒素を除く) の圧力規定は400kPa±50と記載されていますが、その上で酸素は他のガスよりも30kPa程度高くするとあります。

こればブレンダーなどの混合気の調整部分で故障が発生しても、圧勾配で酸素が優先的に流れて患者に低酸素症を発生させないようにするという理由に基づきます。つまり、以前に酸素配管圧が低くなるというトラブルが起こり、そのときに他のガスがブレンダーを通って酸素配管系に流れ込んで患者が低酸素血症に陥ったという医療事故が起こり、このことが教訓になって酸素配管圧が高く設定され、ブレンダーにも改善が施されました。(事故が起きないと変わらないのは今も同じ!事故が起きたときには責任を追及するのではなく、対策を取るべきと皆で大声あげて叫びましょう。)

ところで、毎日注意して見ていると、各圧力ゲージの圧は毎日微妙に動くことを確認できます。当院では比較的大きな(?)変動が認められます。圧力変動は施設の供給設備、ガスの使用状況・同時使用率等によって左右されます。このような場合には、圧力ゲージで毎日計測していただき、変動が大きいところでは酸素圧力を少し高めに設定するといった検討が必要になるそうです。

圧力ゲージの確認は麻酔科医の始業点検項目であり、毎日見ているはずです。しかし、知らない麻酔科医が多いのも事実です。麻酔器を自動車にたとえるか、航空機にたとえるか、麻酔科医のポリシーで始業点検のやり方に違いがみられます。しかし、ほんとにこれでいいのかな?私が責任者である当麻酔科も副操縦士とチェックリストでチェックするような厳密さは持ち合わせませんが、当科では研修医や救命救急士に声に出して確認するように言い、私が目でそれを追っています。

Q3. 主たる酸素貯蔵がその定格最大充填量の2/3量で施設7日分の使用量以上あれば合格?
Q4. 主たる酸素貯蔵の容量警報が鳴るのは、最大容量の何%以下になったとき?

主たる酸素貯槽はBulk Oxygen Systemという英語表記になり、実際にこれらの言葉も使用もされますが、わが国ではガス工業会の呼称の方がより一般的で、液化酸素貯槽:Cold Evaporator (CE)と呼ばれます。つまり、病院の敷地の端の方に設置される大きな液化酸素タンクのことです。その定格最大充填量の2/3量で10日分以上維持できるものとされます。したがって、設問は誤りです。しかし、貴施設の1日当たりの平均酸素消費量をご存知ですか?施設のベッド数が変わったり、使用状況が変わったりして2/3量で10日もつのかどうかを再確認すべきではないでしょうか?

この10日で2/3量という数字を把握しておかなければ、もし、先の東日本大震災のように助けが来ないときに、何日持ちこたえられるかを計算できません。是非、記憶しておきましょう。本当に天災は忘れた頃(正確には気にも留めていない時)にやってきます(神戸市東灘区住民の声)。

そして、主たる酸素貯槽の容量が30%以下になると警報が鳴ります。この警報には、可聴信号、可視信号があり、警報音を消しても異常を示す赤ランプ(可視信号)は異常が解消されるまで消灯しません。そして、通常時は安全に機能していることを示す緑ランプが点灯しなければなりません。

また、警報には要補充情報、緊急警報(配管圧が上昇・低下した時)異常警報(酸素貯槽圧が上昇・低下した場合)があります。これらの警報は管理室、詰め所、施設課などに知らされますが、警報が出たときに、人が常駐しない場所であったりする危険な施設もありますので、ご用心を!

そして、異常が生じたときに、貴方はどこに確認しに行くべきですか?どこに電話すべきですか?貴施設での緊急時の対応を把握しておられますか?是非、シミュレーションをしておいてください。

Q5. 中央配管の漏れを疑ってゾーンバルブを一時的に閉じたが、すぐに問題がなかったのですぐに元に戻した、これってOK?

区域緊急遮断弁(ゾーンバルブorシャットオフバルブ)の規定(JIS T7101)に反する行為です。

緊急時には、その仕組みや配管の支配領域に与える影響を理解できる方なら、誰がゾーンバルブを閉鎖(遮断)しても構いません。しかしながら、解除(開栓)にあたっては医療ガス安全管理委員会の同席のもとに、安全を確認してから解除(開栓)しなければなりません。試しに開け閉めなんていう行為は厳禁(法令違反)です。現実的には、ゾーンバルブの遮断は定期検査や改修工事等が発生するときに操作が必要になるのみで、日常業務においては操作自体が厳禁と理解してください。

改築してある施設などでは、ゾーンが複数施設に跨っていることがあり、ICUでは誰も酸素を使ってないから大丈夫と思って安易にゾーンバルブを閉じると、隣の透析室の酸素供給までが停止していたという事故が起こります(本当にあった話です)。

Q6. 不適切な自作酸素装置によって医療事故が起きたとき、違反する法令・条例の種類と数は?また管轄省庁はどこ?
  医療法 厚生労働省
  薬事法(日本薬局方) 厚生労働省
  高圧ガス保安法 経済産業省
  日本工業規格 経済産業省
  火災予防条例 地方自治体

車はルール・構造を知らなくても走る」、酸素も誰でも使えます。しかし、自動車事故もひとたび事故を起すとそうは行きません。業務上過失致死傷、道路交通法違反、刑事・民事訴訟、道路安全保安条例など多くの法規に縛られ、知らないではすまされません。酸素使用も同じ事です。

少し古いデータですが、酸素にまつわる医療事故のうち酸素供給トラブルは最も多く約90%です。その40%で、植物状態及び重大後遺症を含めると5060%にもなるといわれます。

こうなると、上記に加えて、以下のもっと厄介な問題が発生することになります。

業務上過失致死・業務上過失致傷(刑事訴訟法)

損害賠償請求事件(民事訴訟法)

Q7. 高圧ガス保安法で酸素ボンベは火気設備、電気設備、危険物などから何メートル離せば貯蔵できる?

5mを離すことが義務付けられます。焚き火の傍から5mではありません。火の粉が確実に飛んでこないところから5ということになるでしょう。院内にもこれと同じような考え方をしないといけません。つまり、発熱する可能性のあるものには近づけないということです。たとえば、変圧装置・配電盤などもこれに該当します。もしも火を噴けば?と考えましょう。あまり開閉しない配電盤の扉の前は都合のよいスペースで、ボンベラックが置かれているのをよく見かけますが、これは法令違反に該当します。この他にも、動いてくるようなものが傍にある場所も不適切です。

また、野外で使用する場合、熱したアスファルトや砂の上に直接置いてはいけません(40℃以下の環境で使用)。

Q8.

ボンベを持つとき、どこを持って搬送するのが正しい?

ボンベを手で持って運搬するときに、最も持ちやすいハンドル(開閉栓)を持って、ボンベをぶら提げている方をよく見かけますが、これはボンベのお作法に反します。口金部分を持つか、ボンベ自体を丁寧に抱っこしてください。抱っこしたときはハンドルを目の高さ以上に持ち上げないように気をつけてください。ハンドルを持ってハンドルが抜け落ちたり、口金部分をぶつけたりしてボンベが破損すると、ボンベは恐ろしい凶器に変身します。6070mぐらい空中を飛んでいく能力を秘めた爆弾(金属の塊)と思ってください。

Q9.

ボンベカートでボンベを運搬するとき、押していくの?引いていくの?

答えは「押して行く」です。2輪の車輪の付いた旅行用キャリー鞄を思い出してください。引っ張っていくと直進は良いのですが、曲がるときになかなか言うことを聞かず、バックが横転した経験を誰もがお持ちと思います。また、他人の足にぶつけると簡単にフラフラし、しばらくはじゃじゃ馬慣らしが必要になります。全く同じ理由から、車輪付きのボンベラックも引っ張ると危険で、ボンベ横転・落下の危険があります。したがって、車輪付きボンベラックでボンベを運搬するときは「前方を確認しながら押していく」のが正しい「お作法」です。

一方、人工呼吸器や麻酔器のように重いもの、特にヘッドヘビー(頭でっかち)な機器は押すと、段差やコードに車輪が引っかかって前方への転倒の危険性が高くなります。すなわち、押している勢いそのままに前につんのめって、高価な機器は大破します。引いていると体で受け止めて、転倒を防ぐことが可能になり事故を防止できます。(機器の下敷きになれとは言っていません!)

Q10.

ボンベの打刻印にある文字のうち、V、W、FP、TPってなにを意味するの?

刻印   意味
V ボンベ容積(L) 3.4

 ボンベ重量(容器のみ;kg) 5.3

TP

耐圧試験圧力(MPa) 24.7M

FP

最高重点圧力(MPa) 14.7M

これらはボンベ残量を知るため、安全管理するために必要な項目です。このほかにもボンベの肩にいくつか刻まれていますが、おもにボンベ供給会社の行政管理に必要な打刻印です。

容器製造業者符号(象形文字・絵文字のような打刻印) 例:ΘЖЭ
容器所有者登録記録番号 例:E002
ガス種類:元素記号・化学記号で示されます 例:O2・CO2など
容器番号:英文字と数字の数桁の打刻印 例:KHA93318
製造時耐圧試験年月日(最も古い期日) 例:3-93
定期耐圧試験年月日(新しい期日) 例:5-96